はじめに
先日、技育CAMPキャラバンin福岡に社会人エンジニアとして参加し、学生の皆さんと対話する貴重な機会を得ました。このイベントは一方的な講義形式ではなく、各企業がブースを設け、学生と直接対話できる形式で行われました。
私は株式会社スリーシェイクのSreake事業部に所属しています。当社はインフラエンジニアやSRE特化の企業であり、必ずしも全ての学生エンジニアの志望と合致するわけではありません。そのため、マッチングに時間が余った際には、先輩社会人として学生からの様々な質問に答える時間を持つことができました(もちろん、インフラエンジニアやSREに興味がある学生は応募してほしいです)。
実はこの内容は半分冗談で半分本気なのですが、基本的な生活習慣の重要性は本当に伝えたいメッセージの一つです。なので、後半に参考文献などを貼ってます。
もう、おじさんなので学生エンジニアに出会ったら、集中力を高める食事、認知機能を向上させる運動、記憶の定着に不可欠な質の良い睡眠、創造性を引き出す意識的な休憩といった基本的な生活習慣の最適化と、予期せぬチャンスを活かす計画的偶発性理論に基づくキャリア形成の話しかしていない。
— nwiizo (@nwiizo) 2024年11月16日
この記事では、学生の皆さんから頂いた質問と回答を整理してまとめました。完璧な内容ではないかもしれませんが、対話を通じてかつての自分自身の悩みや不安が蘇り、過去の自分に語りかけているような不思議な感覚を覚えました。
この内容が、ご質問いただいた学生の皆さまはもちろんのこと、同様の悩みを抱えているすべての方々の参考となれば幸いです。なお、各回答は異なる方々からの質問に対して、それぞれの文脈に沿ってお答えしたものとなっております。
Q.失敗するのが怖くて全体として中途半端になってしまう
この質問をされた時に分かりすぎて泣きそうになった。エンジニアとして働いてきたり少し長く生きた経験から言えることは、失敗を恐れることよりも、挑戦しないことのほうが人生にとって大きなリスクとなるということです。
結局のところ、これは自己愛の問題なのかもしれません。「時間を無駄にしたくない」「労力を無駄にしたくない」「チャンスを無駄にしたくない」。そういった思いが強すぎると、かえって何も始められなくなってしまいます。
この「無駄にしたくない」という感情の根底には、自分を大切にする気持ちが強すぎるあまり、逆に自分を縛ってしまうというパラドックスがあります。完璧を求めすぎる。失敗を許せない。その背景には、実は自分への過度な期待や要求があるのです。
でも、人生は無駄にしても良いんです。むしろ、無駄を恐れるあまり何も挑戦しないほうが、本当の意味で人生を無駄にしてしまうことになります。健全な自己愛とは、失敗しても自分を受け入れられる強さ、完璧でない自分を許せる余裕を持つことなのです。
人生で最も価値のあるものは、一朝一夕には手に入りません。技術力も、人間関係も、信頼も、全て時間をかけて少しずつ築き上げていくものです。その時間を掛けられるかどうかは、今この瞬間にどれだけ自分を信じられるかにかかっています。そして、自分を信じるためには、失敗した自分も含めて、まるごと受け入れる覚悟が必要です。
実は、本当に価値のあるものには、必ず痛みが伴います。すぐに得られる快楽は往々にして一時的なものですが、時間をかけて獲得したものこそが、本物の価値を持つのです。エンジニアとしての技術力も同じです。一朝一夕には身につかず、時には挫折も味わう。でも、その痛みを受け入れ、耐えることができれば、必ず実を結ぶのです。
私自身、数々の失敗を経験してきました。コンテストに出て準備不足で大敗したり、本番環境でのデプロイミス、重要な機能の設計ミス、プロジェクトの見積もり違い、スタートアップへの参画での関わり方の間違いなど。一見すると、これらは全て「無駄な失敗」のように思えます。しかし、これらの失敗は全て、今の私の技術力と判断力の基礎となっています。失敗から学べる環境は、社会人になるとむしろ少なくなります。学生時代は、失敗から学ぶ最高の機会なのです。
小さな挑戦から始めて、失敗した時の対応策を事前に考えておく。そして失敗から学んだことを必ず記録し、同じ失敗を繰り返さない仕組みを作る。これが私の失敗との向き合い方です。完璧を目指すのではなく、失敗してもいいと自分に許可を出すこと。そこから本当の挑戦が始まるのです。これは、自分を信頼し、自分を大切にする健全な自己愛の表れでもあります。
また、簡単に手に入るものは、簡単に失われます。でも、痛みを伴って得たものは、決して簡単には失われない。この事実を心に留めておいてください。そして、これは自分自身との関係性においても同じことが言えます。自分を大切にしすぎるあまり縛ってしまうのではなく、失敗も含めて受け入れる。その寛容さこそが、本当の意味での自己愛なのかもしれません。
Q.プログラミングがあまり分からなくて不安です
これはとても一般的な不安です。実は私も、そして多くのエンジニアも同じ経験をしてきました。
プログラミングの習得は、多くの人が思い描くような線形的な成長カーブを描きません。理解が全く進まないように感じる時期が長く続き、そしてある日突然、「あ、わかった!」という瞬間が訪れるのです。これは私たちの脳が新しい概念を理解する際によく見られるパターンです。
たとえば、プログラミングの各種概念は最初のうちは本当に理解が困難です。でも、ある時を境に急に全体像が見えてくる。それまでモヤモヤしていた霧が晴れるように、概念が腑に落ちる瞬間が必ずやってきます**。
だからこそ、今理解できないからと諦めるのは本当に惜しいことです。理解できないのは当たり前の段階なのです。むしろ、理解できなくて当然の時期を耐え忍ぶことこそが、プログラミング習得の本質とも言えます。
それと合わせて、私から一つアドバイスさせていただきたいことがあります。それは言語化能力を磨くことです。プログラミングの学習において、概念を言葉で説明できる能力は非常に重要です。なぜなら、自分の理解を言葉にすることで、その理解がより深まり、また他者と共有できるようになるからです。
学んだことを日記やブログに書き留めることから始めてみましょう。技術書を読んでその内容を自分の言葉で要約してみる。分からないことを質問する際にも、自分の理解状態を具体的に言語化してみる。これらの活動は、一見するとプログラミングの学習から外れているように思えるかもしれません。しかし、言語化能力はエンジニアにとって、いくら高くても困ることのないスキルです。コードを書く力と、それを説明する力。この両輪があってこそ、真に優れたエンジニアとなれるのです。
最後に繰り返しになりますが、今の不安は決して特別なものではありません。理解できないことに耐え、学び続ける勇気さえあれば、必ず道は開けます。今は理解できなくても、それは単に「まだ」理解できていないだけなのです。焦らず、諦めず、そして何より自分を信じて、一歩ずつ前に進んでいってください。
Q.キャリア形成をするときにどうすればよいでしょうか?
10年程度のエンジニア経験を通じて、最も重要だと感じているのは「計画的偶発性」の考え方です。予期せぬチャンスは必ず訪れますが、それを活かせるかどうかは、日頃の準備にかかっています。
そして、どのような道を選んでも、基礎的なスキルの習得は必須です。技術力はもちろん、コミュニケーション能力、プロジェクトマネジメントの基礎、ドキュメンテーションスキルなど、技術以外の部分が実は大きな差を生みます。これらを支えるのが規則正しい生活習慣です。質の良い睡眠、バランスの取れた食事、適度な運動。この当たり前のことを当たり前にできることが、長期的なキャリアを支える土台となります。
最後に付け加えておきたいのは、最初の選択が全てを決めるわけではないということです。キャリアは常に変化し続けるものであり、必要に応じて軌道修正することも可能です。大切なのは、その時々で最善と思える選択をし、その環境で最大限学び、成長することです。
Q.就活のときに気にしたほうがいいこと
就職活動で自分が気にしていたのは相手の立場や背景を理解したコミュニケーションです。人事部門、現場エンジニア、経営層など、話す相手によって重視する観点が異なります。同じ経験や能力でも、相手の関心に応じて伝え方を工夫する必要があります。
人事との対話では、将来のキャリアビジョンやチームへの貢献について。現場エンジニアとは技術的な興味や具体的な実装経験について。経営層にはビジネスへの理解や組織全体への価値提供について。このように文脈に応じて自分の強みを効果的に伝えられることが重要です。
また、会社選びにおいては技術環境だけでなく、育成・評価制度やチームの雰囲気も重要な要素です。メンター制度の有無、技術研修の充実度、キャリアパスの明確さ。そしてチーム内のコミュニケーションスタイル、残業や休暇の取得状況、チーム間の連携方法。これらが実際の働きやすさを大きく左右します。
このような状況に応じたコミュニケーション能力は、就活だけでなく、その後のエンジニアとしてのキャリアでも大きな差となって現れます。相手の関心や視点を理解し、それに応じて自分の経験や考えを効果的に伝える。これは単なる処世術ではなく、エンジニアに求められる重要なスキルの一つなのです。
Q.学生の間でやったほうがいいこと
正直に申し上げると、この質問に対する模範解答を示すことは避けたいと思います。なぜなら、誰もが自分の人生の主人公であり、その選択に責任を持つべきだからです。
ただし、一つだけ確実に言えることがあります。それは、誰もあなたを救ってくれないということです。社会人になってから「あの時こうしておけば良かった」と思うことは誰にでもあります。しかし、それはその時の自分が選択した結果であり、その選択に対する責任は自分自身にあるのです。
あなたの人生の舵を取れるのは、あなただけです。そして、その選択の結果として感じる後悔も、あなただけのものです。他人の経験談や助言は参考程度に留め、最終的には自分で考え、決断し、その結果に向き合う覚悟を持ってください。
Q.SREって何ですか?
この質問に関しては、私が以前書いた「点でしかないものを線で見る為に - 「SREの前に」」というブログ記事と登壇資料を紹介しました(同運営イベントなので・・・)。
この記事では、SREの考え方や、実践に必要な基礎知識について詳しく解説しています。あとはインフラエンジニア版の競技プログラミングサイトを紹介した。
Q.生産性を上げる方法はありますか?
私からの回答は明確です。「スマートフォンを制限すること」に尽きます。
現代の最大の生産性の敵は、実はポケットの中にあります。スマートフォンは素晴らしいツールですが、使い方を誤ると大きな時間泥棒となります。これは単なる時間管理の問題ではありません。
スマートフォンやSNSは、意図的に依存性を持つように設計されています。「ついスマホを見てしまう」「暇があれば通知をチェックしている」「SNSやYouTubeを見ていたら、気づいたら何時間も経っていた」—これらは偶然ではありません。これらのプラットフォームは、ドーパミンという報酬物質を放出させ、継続的な使用を促す仕組みになっているのです。
その影響は私たちの生活のあらゆる面に及びます。集中力の低下により、情報過多で何をしようとしていたのかを忘れてしまう。メンタルヘルスへの悪影響として、衝撃的なニュースや他人の投稿を見て不安や劣等感を感じる。さらには睡眠の質の低下をもたらし、就寝前の使用が質の良い睡眠を妨げています。
では、具体的にどうすれば良いのでしょうか。
まずは物理的にスマホを遠ざけることから始めましょう。自分の部屋に置かないという選択は、思い切った対策に思えるかもしれませんが、効果は絶大です。目覚まし時計などのような、スマホの代替となるツールを積極的に活用することで、依存度を下げることができます。
そして何より大切なのは、リアルで人と会って交流することです。オンラインのつながりに頼りすぎると、かえって孤独感が深まることがあります。実際の対面でのコミュニケーションは、心の健康を保つ上で非常に重要です。
重要なのは、これは決してあなたの意志の弱さが原因ではないということです。現代のテクノロジーは、人間の脳の仕組みを巧妙に利用するように設計されています。だからこそ、意識的な制限と代替手段の確保が必要なのです。
休憩時間もスマートフォンに頼るのではなく、軽い運動や瞑想を取り入れる。寝る前の読書習慣をつけるなど、スマートフォンに依存しない生活リズムを作ることで、驚くほど生産性が向上します。
あなたの本来の能力を最大限に発揮するために、まずはスマートフォンとの適切な距離感を見つけることから始めてみてください。
Q.周りのすごい人と比べてしまって落ち込みます
この悩みをよく聞きます。俺も思います。確かに私たち人間は、ついつい目に見えるラベルで判断してしまいがちです。学歴、過去の実績、Xのフォロワー数、有名企業でのインターン経験、GitHubのスター数など。でも、エンジニアの本当の凄さは、そんな表面的なところにはありません。
私が長年エンジニアとして働いてきて確信しているのは、本当に優れたエンジニアの価値は、その人が直面する問題をどう解決するか、チームにどう貢献するか、そして日々どう成長していくかにあるということです。
時には、ほんの些細な気づきや熱量や視点の違いが、大きなアウトプットの差を生むことがあります。これは学生時代に限らず、社会人になってからも同様です。
確かに、自分が目指したいキャリアイメージに向けて、意識的にある種のラベルを獲得しようとすることは否定しません。それも一つの戦略です。ただし、より重要なのは、自分の思考プロセスや行動を明確に言語化できる能力です。「なぜその選択をしたのか」「どのように問題を解決したのか」を論理的に説明できる人は、社会に出てからより高く評価される傾向にあります。
肩書きや過去の実績は、その人の一部分でしかありません。むしろ、今この瞬間にどれだけ真摯に技術や事業と向き合っているか、どれだけ学ぼうとする意欲があるか、そしてどれだけチームに価値をもたらしているか。そういった日々の積み重ねこそが、エンジニアとしての本質的な価値を形作っていくのです。
だからこそ、表面的なラベルで自分を判断する必要はありません。あなたにしかできない貢献の仕方があり、あなたにしかない成長の道筋があるはずです。重要なのは、自分の考えや行動を明確に言語化し、それを他者と共有できること。そして、他の人と比べるのではなく、昨日の自分と比べて、一歩ずつでも確実に前に進んでいくことです。
余談ですが、技術的な記事を書いたり登壇したりすることで「いいね」を集めたり、ハッカソンやビジネスコンテストで賞を獲得したりすることで得られる達成感は、一時的な快感に過ぎず、あくまでも外部からの評価でしかありません。
イベントやSNSでの反響は確かにモチベーションの維持や目標設定には有効です。しかし、それを自分の技術力の証明と混同してしまうのは危険です。特に、外部での評価が高まると実際の技術力以上に自己評価が膨らみがちです。
定期的に競技プログラミングやISUCON、CTF、学生ならICTSCにでも参加して、自分の現在地を冷静に確認することをお勧めします。結局のところ、ソフトウェアエンジニアにとって最も大切なのは、地道なコーディングと技術力の着実な積み重ねなのです。
質問ではないのですが投稿まとめ
ツイートの内容をサクッとまとめます。エンジニアの間で「運動が大切だ」という話をよく耳にします。確かにその通りですが、健康維持には運動以外にも同等に重要な要素が複数あります。
これは人生の多くの側面に当てはまる話です。「すごい」と感じる人に出会ったとき、その瞬間にその人と自分の実力差や実績の差に圧倒されがちですが、実はそれは表面的な差でしかありません。大切なのは、基本的な生活習慣を整え、地道な努力を10、20年単位で継続できるかどうかです。短期的には大きな差が付いているように見えても、正しい生活習慣と共に粘り強く継続することで、必ず追い付き、追い越すことができます。
質の良い睡眠は、技術の習得と定着に直接的な影響を与えます。睡眠中、脳は日中の学習内容を整理し、長期記憶として定着させる重要な作業を行っています。しかし、多くのエンジニアは必要な睡眠時間を確保できていない「睡眠負債」の状態にあります。
これは単なる「睡眠不足」という言葉で片付けられる問題ではありません。借金と同じように、睡眠負債は返済が滞ると、脳も体も思うように機能しなくなり、最終的には「眠りの自己破産」を引き起こしてしまいます。その結果、集中力の低下、記憶力の減退、さらには深刻な健康上の問題まで引き起こす可能性があります。
特に危険なのは、睡眠負債による「マイクロスリープ(瞬間的居眠り)」です。1秒未満から10秒程度の意識の途切れは、本人も気づかないうちに起こり、作業中の重大なミスや事故につながりかねません。コードレビューやインフラ作業など、高度な注意力を要する作業において、これは深刻な問題となります。
対策として重要なのは、就寝前のブルーライトを避け、規則正しい睡眠サイクルを維持することです。週末の寝だめでは解決しない睡眠負債を作らないよう、平日から意識的に睡眠時間を確保することが、長期的な学習効率と作業パフォーマンスを支える土台となります。
適切な食事も、持続的な集中力の維持に不可欠です。ただ、多くのエンジニアに共通して見られる問題として、安易に糖質に偏った食事を選択しがちという傾向があります。手軽なカップ麺やパン類、菓子類への依存は、一時的な満足感は得られても、長期的には集中力の低下を招きます。
特に気をつけたいのがタンパク質の摂取不足です。プログラミングは脳を使う仕事であり、脳の働きを最適化するためには十分なタンパク質摂取が欠かせません。忙しい中でも、プロテインドリンクの活用や、コンビニで手に入る鶏むね肉のサラダなど、手軽にタンパク質を補給できる方法を確保しておくことをお勧めします。
ここで個人的におすすめなのが低温調理器の活用です。特に鶏むね肉の調理に関しては、低温調理器があれば手間をかけずに柔らかく美味しいタンパク質を確保できます。帰宅後に調理を始めるのは大変ですが、低温調理器なら出勤前にセットしておくだけで、帰宅時には完璧な火加減の料理が待っています。しかも、大量調理が可能なので、一度の調理で数日分のタンパク質を準備できます。
コーヒーや糖分に頼りすぎない食生活を意識することも重要です。特に朝食では、炭水化物とタンパク質をバランスよく摂取することで、一日を通して安定したパフォーマンスを発揮できます。
そして見落とされがちなのが、意識的な休養時間の確保です。連続的な作業は、必ずしも生産性の向上には繋がりません。むしろ、疲れをごまかして動き続けることは、回復に要する時間を延ばすだけでなく、深刻な健康上の問題を引き起こす可能性があります。
休養には「生理的休養」「心理的休養」「社会的休養」の3種類があり、これらを適切に組み合わせることで、より効果的な疲労回復が期待できます。ただし、ここで言う休養とは、スマートフォンを触ることではありません。むしろ、休憩時間にスマートフォンを見ることは、脳を別の形で疲労させてしまう最悪の選択と言えます。
理想的な休養とは、「自分で決めた」「仕事とは関係ない」「成長できる」「楽しむ余裕がある」という条件を満たした活動を指します。これらの要素が揃うことで、単なる休憩ではなく、心身の本質的な回復と成長をもたらす「攻めの休養」となります。
デジタルデバイスから完全に離れ、心身をリセットする時間が必要です。短い散歩や深呼吸、窓の外を眺めるなど、意識的に何もしない時間を作ることで、脳は自然と新しいアイデアを生み出す準備を整えていきます。これは一見、時間の無駄に思えるかもしれませんが、長期的な生産性向上には不可欠な投資なのです。
運動も確かに重要ですが、それは全体の一部分でしかありません。質の良い睡眠、バランスの取れた食事、適切な休憩。これらすべての要素が揃って初めて、エンジニアとして最高のパフォーマンスを発揮できるのです。ぜひ、生活習慣全体を見直す機会にしていただければと思います。
おわりに
後から見返すと純粋な学生に対して偉そうで斜に構えた回答をしてるなぁ… もっとベタをやれって思ってしまいました。ともあれ無事に終わって良かったです。
学生の皆さんと対話できる貴重な機会を得て、私自身も多くの気づきがありました。かつての自分も同じような不安や悩みを抱えていたことを思い出し、その時の気持ちが今でも鮮明に蘇ってきます。そして不思議なことに、皆さんの質問に答えながら、過去の自分自身とも対話をしているような感覚がありました。
技術の世界は常に変化し続けています。その中で最も重要なのは、技術そのものではなく、技術を学び続ける力、問題を解決する力、そして人と協力する力です。これは今も昔も変わらない真理だと感じています。
皆さんには無限の可能性があります。当時の私がそうだったように、今は不安や迷いがあるかもしれません。でも、その不安を抱えながらも一歩を踏み出す勇気があれば、必ず道は開けます。失敗を恐れず、積極的に挑戦し続けてください。私たち社会人エンジニアは、かつての自分を重ねながら、皆さんの成長を心から応援しています。
そして、この対話を通じて、私自身も過去の自分と向き合い、その不安や迷いを受け止め直すことができました。私たちは常に、過去の自分を励ましながら、未来の誰かの道標となれるよう成長し続けているのかもしれません。
なお、イベントでお会いした学生の皆さん、もし追加の質問や相談事があれば、お気軽にDMをください。可能な範囲で、皆さんのキャリアについて一緒に考えていけたらと思います。