概要
AIの技術は目覚ましい進歩を遂げています。特に自然言語処理(NLP)の分野では、GPT-4のようなモデルが人間に近いレベルで文章を理解し、生成することができるようになりました。しかし、これらのモデルを日々の業務や作業にどのように活用すればよいのか、多くの人々がまだ手探りの状態です。
一方、コマンドラインは、システム管理者やソフトウェア開発者にとって重要なツールです。コマンドラインからシステムの状態を調べたり、プログラムを実行したりするためには、これらで利用するコマンドの理解とそれらを十分に使いこなすことが必要です。
アフィリエイトでも何でもなく運用で利用するコマンドについてはLinuCなどもあるので教材を読むだけでもおすすめしたい。
では、AIがコマンドプロンプトの結果を理解し、それを人間がより理解しやすい形で説明することができたら、どうでしょうか?
ここで、AICommandを紹介します。AICommandは、コマンドプロンプトの実行とその結果の解釈を統合したツールであり、AIの力を借りてコマンドプロンプトの結果を理解する新しい試みです。今回の記事では、このAICommandについて詳しく見ていきましょう。
シェルコマンドの実行とその結果をOpenAIのGPTモデルに結果を送信し解説を要求するGo製CLIツールです。コマンドの処理状況も視覚的に表示します。 pic.twitter.com/5q6jqyWbsx
— nwiizo (@nwiizo) 2023年7月18日
AICommandの紹介
AICommandは、コマンドプロンプトの結果を人間が理解しやすい形に解釈するための新しいツールです。OpenAIの強力な自然言語処理モデルを使用して、コマンドラインから得られた情報を詳細に解析し、その結果を説明します。これにより、複雑なコマンドの実行結果も、非専門家でも簡単に理解できるようになります。
コマンドプロンプトは非常に強力で、システムの管理やデータの分析には欠かせないツールですが、その結果を正しく理解するには専門知識が必要で、学習コストが高いという課題がありました。しかし、AICommandを使えば、そのハードルが大きく下がります。たとえば、システムのログを確認するためのコマンドを実行した結果を、AIが解釈し、重要なポイントをハイライトしてくれます。さらに、その結果がどういう意味を持つのか、何が原因でそうなったのかといった情報も提供してくれます。
このように、AICommandは、AIの能力を利用して、コマンドプロンプトの利用をより手軽で、より理解しやすいものに変えることを目指しています。ソフトウェア開発者やシステム管理者だけでなく、コマンドラインを利用するすべての人々にとって、新たな可能性を広げるツールとなることを目指します。
option で日本語にも対応してます。 pic.twitter.com/AkEHh5syPx
— nwiizo (@nwiizo) 2023年7月19日
Setup 🔧
AICommandはGo言語で書かれているため、Goの開発環境が必要です。まず、Goがまだインストールされていない場合は、公式のインストールガイドに従ってGoをインストールしてください。
Install aicommand
Goがインストールされたら、次にAICommandをインストールします。
go install github.com/nwiizo/aicommand@latest
Set the your_api_key
AICommandはOpenAIのGPTモデルを使用しますので、OpenAIのAPIキーが必要となります。OpenAIのアカウントを持っていてAPIキーを取得済みの場合は、そのAPIキーを使用します。まだAPIキーを取得していない場合は、OpenAIの公式ドキュメントを参照してAPIキーを取得してください。
APIキーを取得したら、そのキーを環境変数 OPENAI_API_KEY
に設定します。設定方法は以下の通りです:
export OPENAI_API_KEY=your_api_key
Usage ⏳
コマンドの実行とその結果の解釈を行うには、次のように execute コマンドに続けて実行したいコマンドを引数として与えます。コマンドは(ダブル)クオーテーションで囲む必要があります。
aicommand execute "your-shell-command"
たとえば、ディレクトリの内容をリストする ls -la コマンドの結果を解釈させたい場合は、次のように実行します。
aicommand execute "ls -la"
すると、AICommandは ls -la コマンドを実行し、その結果を解釈して人間が理解しやすい形で説明します。
また、解釈結果の言語を指定したい場合は、 --language
または-l
オプションを使用します。現在、英語(en)と日本語(ja)がサポートされています。デフォルトの言語は英語です。
aicommand execute --language ja "ls -la"
さらに、使用するGPTモデルを指定することも可能です。これは --model または -m オプションで指定します。デフォルトは gpt-3.5-turbo です。
aicommand execute --model gpt-3.5-turbo "ls -la"
これでAICommandの基本的な使用方法について説明しました。コマンドプロンプトの結果の解釈がこれまで以上に手軽になり、より深い理解が可能になります。
AICommandの可能性🤖
AICommandは、私たちが普段利用しているコマンドプロンプトをOpenAIのGPTモデルと組み合わせることで新たな可能性を生み出します。たとえば、複雑なコマンドを実行した結果の意味を理解することが困難な場合や、ログの解析、データ分析などで結果をより深く理解するための手助けとなります。
また、様々なプログラムやスクリプトの実行結果を人間が理解できる形で説明してくれるため、デバッグやエラー解析の作業を効率化することが可能です。AICommandを利用すれば、テクニカルな知識がなくてもコマンドラインから得られる情報を理解しやすくなるかもしれません。
結論🦾
AICommandは、AIとCLI(Command Line Interface)の架け橋となるツールであり、この2つの強力なテクノロジーを組み合わせることで、未知の課題に対して新たな視点を提供します。さまざまなバックグラウンドを持つユーザーがコマンドラインから得られる情報をより容易に理解できるようになることで、これまで手が出せなかった問題に取り組む手助けをしてくれるでしょう。
しかし、その一方で、AICommandはコマンドプロンプトの出力を人間が理解できる形で解釈するツールであるため、その解釈は絶対的な真実を表すものではありません。AICommandの解釈結果は参考の一つと考え、最終的な意思決定はユーザー自身の判断に任せるべきです。
以上のことを念頭に置いて、AICommandを活用すれば、新たな視点からコマンドラインの世界を探索することが可能になるでしょう。
CloudNative Days Fukuoka 2023 にて登壇
余談なのですが"k8sgpt Deep Dive: KubernetesクラスタのAI駆動型分析について” というタイトルで登壇を行います。